MTシステムとは

MTシステムとは6 -有効項目の選択-

MTシステムとは計測の項目の選択に関する基本的な考え方を以下に示します。1)異常(故障)の程度の異なるメンバーを信号とし、計測項目を2水準の直交表に割り付ける2)異常の程度を信号の真値、MTシステムで求めた距離とで動特性のSN比を求める3)特性値はSN比である4)直交表の解析を行い、要因効果図を得る5)要因効果図より計測項目を採用することによってSN比が向上すると判断される項目を有効項目とする6)有効項目のみ(部分空間)を利用することによって、予測の精度の改善を図る
有効項目の選択は、2水準の直交表の要因効果図により判断しますが、応用計測研究所のMTシステムのソフトウェアは、混合型の直交表を利用することで、交互作用の影響を受けにくい項目の選択をサポートします。

MTシステムとは5 -項目を利用した診断(異常の種類の特定)

MTシステムとは異常の種類や原因を明らかにすることが診断問題です。距離をすいてすることによって、異常の程度を明らかに出来ますが、それだけでは不十分な場合もあります。目的によっては、以上の原因を探りたいこともあります。それが、計測項目を利用した項目による診断です。
●計測項目を利用して診断を行う解析手順は以下の通りです1)異常の明らかなグループについて、計測項目を2水準系の直交表に割付ける2)この場合の特性値は距離である3)直交表の解析を行い、要因効果図を得る4)異常の種類ごとに要因効果図を分類する(データベースとする)5)異常が未知のメンバー一つひとつについて、距離を特性値とした直交表の解析を行い要因効果図を得る6)一つひとつののメンバーが、④で示した要因効果図のどのパターンに属するかを判定する
項目による診断方法は、複数の要因効果図の類似度を、通常目視により判断しますが、応用計測研究所のMTシステムのソフトウェアは、診断の自動化をサポートします。

MTシステムとは4 -単位空間の役割り-

MTシステムとは認識の場合MTシステムは、単位空間の扱い方によって、様々な役割りに対応することが出来ます。例えば異常の程度を認識する場合には、正常な集団が単位空間となります。
予測の場合予測の場合の単位空間の扱いは、予測対象データの項目の時間的な相違にあります。製品を出荷後1年の異常を予想するのであれば、単位空間は出荷後1年間正常であった製品の、出荷直後のデータが単位空間となります。さらに、2年後を予測したいのであれば、単位空間は出荷後2年間正常であった製品の、出荷直後のデータが単位空間となります。ただし、1年後の予測の精度と2年後の予測の精度は異なるかもしれません。予測の精度はSN比で評価し、実用上必要な精度が得られるなら、2年後を予測することもできます。

MTシステムとは3 -信号データとは-

○信号データとは
MTシステムの精度は、単位空間に属さない、異常と判断されたメンバー(信号データ)の異常度を、どの程度正しく計測することができるかが重要です。長さの測定でも、MTシステムによる正常度の測定でも、測定には測定精度のみが重要といえます。測定精度が良ければ、計測対象を正しく測定できることになります。信号データは異常と判断されたメンバーによって構成されるので、異常の程度、つまり目的特性の大きさが必要になります。信号データの役割りは、MT法では測定法としての精度を明らかにするために、またT法においては、さらに個々のデータを校正するためにも使われます。したがって、信号データの異常の程度は正確でなければなりません。
応用計測研究所(株)のMTシステムのソフトウェアは、上記の予測の方法や診断の方法を強力に支援します。

MTシステムとは2 -単位空間とは-

○単位空間とは

MTシステムで重要なことは、単位空間と信号データの設定です。例えば、どれだけ多くの計測項目を用いて正常度を測定したいかは、それぞれの専門家の自由です。しかし、設定した正常の範囲と計測項目、信号データによって正常度の評価結果は異なります。MTシステムの総合計測の設計にあたるものは、次の3項目です。1) 単位空間としての正常範囲と計測項目の定義2) 信号データの定義3) 推定や予測をしたい目的特性MT法の単位空間は、任意の多次元空間のデータに対して、一つの距離を定義しその標準偏差を単位量とする計測方法である。前述したように単位空間はゼロ点と単位量を決めるためとしてのみ利用することになります。専門家であっても、正常と異常の区別をつけることはできても、多次元量を総合して、異常の程度を数量的に求めることは困難な場合が多いからです。しかし、MTシステムでは、総合的な異常の測度を一つの尺度として定義する方法です。メンバーの一つひとつに対して、正常状態からの距離求めることです。
次回「信号データとは」について触れていきます。

MTシステムとは1 -序論-

MTシステムとはMTシステムの研究は、田口玄一博士により1970年代の後半から始められ、肝臓病を中心とした医学の分野において最初の成果が発表されました。多次元の情報(様々な特性値)を総合して新しい尺度を構成する方法で、品質工学では総合計測方法として位置づけられています。MTシステムの役割りは認識(分類)、予測、診断で、例えば、火災に関して言えば、火災に至るという異常事態を早期に誤りなく認識し、消火や避難に役立てることです。地震の予測であれば、地震の発生を早期に予測することによって、地震の被害を最小限にとどめようとすることです。また、異常事態の種類についても特定することが可能です。例えば、MTシステムによって病気であると認識された場合、その病気の種類を特定することが出来ます。それが診断問題です。
次回「単位空間とは」について触れていきます。